西濃運輸に注目の空手形の選手　～米ナショナルチーム入りの知念レイ明優さん～（ぎふチャンラジオ・吉村功のスポーツオブドリーム）

　世界選手権空手形４連覇の若井敦子さんが総監督の西濃運輸空手道部に注目の選手がいます。彼の名は、知念(ちねん)レイ明優(あきひろ)さん。西濃運輸の正社員です。父は日系アメリカ人、母は日本人。ハワイで生まれ育ち、５歳の時に父の影響で空手を始めました。ハワイの公立高校を卒業すると一念発起。日本の文化を知りたい…。空手の更なる高みを目指し、単身で来日したのです。

　同志社大学で日本の文化を勉強。空手は目標の世界ジュニアで優勝するなど力を付けて大学を卒業しました。そして、アメリカに帰る人生設計を変更し、憧れの“世界の若井敦子さん”の下で空手を修行したいと、３年前に西濃運輸に入社しました。

　彼の目標はアメリカに戻り、アメリカ代表としてオリンピックの舞台に立つことでしたが、２０２４年のパリ五輪から空手種目は落選。さらに母国で２０２８年に開かれるロサンゼルス五輪でも空手競技の復活はなりませんでした。オリンピックへの道筋がなくなったことは知念選手を落胆させました。しかし、知念選手は気持ちを切り替えたようです。今年２月、アメリカのナショナルチーム選考会で３位入賞を果たしました。来年エジプトで開催の空手世界選手権の代表になり、メダルをとること。思い描く夢の続きと次の目標を吉村キャスターが取材しました。

　去年１１月に新しくなった西濃運輸空手道部の武道場。そこで待っていてくれたのは、監督の本間絵美子さん、その傍らに知念レイ明優さんがいました。知念さんは優しい笑顔。日本語は少し訛りがあるもののインタビューには十分でした。

吉村キャスター：「アメリカナショナルチーム入り、おめでとうございます。ナショナルチームは何人ぐらいいますか。世界選手権の代表にはなれそうですか」
知念選手：「形と組手それぞれ男女４人ずつです。私は形の３番手ですから、私の上にライバルが２人います。世界選手権の枠がアメリカ代表は２人か１人だと思いますので、代表になるにはもっと強くならないといけません。これからが大変です。体力的にも私よりもっと大きく、技術的にもまだ勉強しなければ、彼らには勝てません」

吉村：「西濃運輸に入った理由は？」
知念選手：「空手界では若井敦子さんは有名です。そこでぜひ修行したいと思いました。入門して３年になります。午前中は西濃運輸の事務をやらせてもらっています。日本語は来日した時は、とても苦労しました。今は何とかしゃべれるようになりましたが、書くことはまだダメですね。書類を作るときは大変です。ほとんど英語で書いて、あとは仲間の方に面倒をみてもらっています。社員の方や部員のみなさんが明るく、親しくしていただけるので、楽しく仕事も練習も出来ています」

吉村：「パリ五輪、その次のロス五輪も空手競技は種目に入れませんでした。ちょっとがっかりしたのでは？」
知念選手：「２０２０東京五輪の喜友名諒選手には感動しました。パリの空手種目落選は残念でしたけど、最大の目標は母国、２０２８年アメリカ・ロサンゼルス五輪でしたので、ロスで何とか代表になりたいと思っていたんですが、ロス五輪の空手競技復活はならず、本当に落ち込みました。しかし、次は世界選手権へと目標を切り替えました。来年のエジプトの世界選手権が今の最大の目標です」

　西濃運輸空手道部の本間絵美子監督にも聞きました。
吉村：「ここで鍛えて世界選手権を目指すことになります。何かもったいないような気もしますが…」
本間：「西濃運輸が彼を採用するにあたって、現在は多様性の時代、アメリカ代表になって世界の空手の舞台に立ちたいという彼の考えに同調し、彼をここで鍛え、アメリカで成功することを応援しようという考えが結論でした。彼も最後はアメリカに戻るという強い気持ちを持ち続けていましたね」

吉村：「初めて彼を見たときの印象はどうでしたか」
本間：「最初に見たときは、こんな優しい顔をした子が空手をやれるのかと思いました。でも胴着を付けると人が変わるんです。精神的にも強く、練習も大変に熱心です。人柄も明るくて誰にも好かれるタイプ、今やこの道場の主役です。アメリカのナショナルチームに入ることができて、彼も私たちも大喜びしました。でもまだ形のアメリカ３番手ですからね。上に強敵が２人いるわけで、彼らに勝たなければアメリカ代表にはなれません。これは大変です。体力というか土台の体幹をしっかり作るのが課題ですね」

『知念レイ明優　爽やかな美丈夫！応援しましょう！』