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箱根駅伝を走る夢 安島莉玖選手(大垣日大高)青山学院大へ入学予定 ~岐阜の安島から世界の安島を見据える~ (ぎふチャンラジオ・吉村功のスポーツオブドリーム)

今年の箱根駅伝ほど面白く興奮した駅伝はなかったと、吉村キャスターは興奮気味に話し...
大垣日大高校3年生の安島莉玖選手=1月31日、大垣市

 今年の箱根駅伝ほど面白く興奮した駅伝はなかったと、吉村キャスターは興奮気味に話しました。往路2区から3区にかけての優勝候補ナンバー1と言われていた駒澤大に青山学院大が詰め寄り、そして逆転…。そこから往路、復路とも青山学院大があれよあれよの独走劇。醍醐味たっぷりの駅伝を目を輝かせて見つめる高校生がいました。大垣日大高校3年生の安島莉玖(あんじま・りく)選手です。

 安島選手は、大垣市出身。2月8日が誕生日で18歳を迎えました。この春高校を卒業し、青山学院大に入学予定です。箱根駅伝への夢を現実のものにするために!夢を抱いて走り続けた高校時代について、吉村キャスターがインタビューしました。

吉村キャスター:「箱根駅伝を走りたいという夢はいつごろからですか」
安島選手:「小学6年の時、初めてテレビで箱根駅伝を見たんですが、その時は、青山学院大が復路で逆転優勝しました。こんな強いチームに入って、自分を磨きたいと思いました。この春、その青山学院大に入学予定です。夢の第一歩。自分はスピードは余りないのですが、大舞台で安定した力を発揮することができると思っています。もちろん、ライバルがたくさんいることは承知の上ですが、出来れば来年から箱根の舞台に立ち、夢を実現のものにしたいです」

吉村:「箱根が終わり、今年の都道府県駅伝、岐阜県チームで花の一区、10キロを走り、区間記録を1秒上回る 区間3位の好走は見事でしたね」
安島選手:「高校生としては最後の都道府県駅伝。集大成の思いで走りました。去年とは違って調整がうまくいったと思います。個人練習を徹底して駅伝に備えました。自分は中学時代、同僚や先輩の走りを見て、スピードが無いし、自分は走る才能がないんだなと思いました。じゃぁ、勝つためにはどうするか? スパートのタイミングなど戦略的に走ることを考えたんです。今回は転倒も怖いので、集団の中に入らず、外に出て、自分のライバルの位置を確認しながら走りました。ラスト500メートルは、ここだという思いでスパートして、うまくいきました。区間賞はとれませんでしたが、満足の走りができました」

 大垣日大陸上部の北野孝英監督にも話を聞きました。
北野監督:「都道府県駅伝前に“君が主役になるつもりで走れ”とアドバイスしました。その通り走っていましたね。調整がうまくいきました。去年は日本海駅伝1区で区間賞。県駅伝は1区で区間新記録の28分50秒と、これが3本目の駅伝で体力的にもよかったんでしょうね。去年は集団の中にいてスパートのタイミングが遅れました。今年は位置的にもスパートのタイミングも自分で考えての区間3位、立派でしたね」

吉村:「去年11月、都大路(全国高校駅伝競走大会出場)を懸けての県予選会。安島君の1区の走りは圧巻でした。28分50秒の区間新。2位以下に3分22秒差、まさに異次元の走りでした。それでも、中京高校に逆転されて全国高校駅伝大会には行けませんでした。最後の年だけ、ちょっと悔しかったですね」
安島選手:「そうですね。都大路は最後になるので、残念でしたが、自分の走りは納得です。去年10月の鳥取倉吉の日本海駅伝は1区で区間賞。その後の鹿児島国体5000メートルを走ったのですが、そのルーティーンがうまくいったんでしょうね。でも、あんなタイムが出るとは自分でも意外な感じがしました。3分22秒差つけましたが、駅伝は一人では何ともならないです。僕は卒業しますが、後輩たちにはチームワークをしっかりして、リベンジしてほしいです」
北野監督:「あれはびっくりしました。中京高校、美濃加茂高校の選手もそんなに悪いタイムの選手ではないんですよ。その選手たちに3分22秒差ですからね。衝撃の光景でした。総合的には中京高校に負けて、都大路は2年連続とはいきませんでしたが、10月の日本海駅伝1区安島は区間賞の好走も結果71位。中京高校にも美濃加茂高校にも大差をつけられたことを考えると、県予選会2位は皆よく走ったと思います」

吉村:「2年生の時、春先に左足疲労骨折で少し苦しんだと思いますが、そこからフォーム改善に取りんだと聞いています」
安島選手:「全く走れなかったこともなく、フォームの改善といっても、より基本に忠実な走りを心掛けたのが一番でした。スピードを出せるように少し地面をはうような走りからバネのある走りにという思いもありました。2年生の時の高校総体、国体は出られませんでしたが、暮れの県駅伝では4区ごぼう抜きの県初優勝、そして待望の都大路に初出場。花の1区を区間10位で走り、考えれば2年生の時が一番充実していたような気がします」

吉村:「3年生になり、高校総体、国体とトラックを走り、やっぱり駅伝ばかりでなく、オリンピックということを考えると、トラック競技にも力を入れたいですよね」
安島選手:「トラックと駅伝は全く別物と考えている方が多いんですが、僕はトラックも駅伝も全く同じだと思っています。マラソンの父と言われている金栗四三さんの“箱根から世界へ”の言葉が大好きで、金栗さんはオリンピックで日本を強くするのは、“マラソンや長距離で強い選手を作らなければダメ”とも言っています。青山学院大で駅伝もトラックも走れる選手を目指せればと思っています。よく、オリンピックと言われるのですが、今はとても考えられません。まず、今を一生懸命こなし、そして次のステップへ。そこで更なる成長があれば、初めてオリンピックを考えます」
北野監督:「安島は駅伝だけ強いと言われるのが一番嫌だと言っています。今トラック競技5000メートルの高校生は好記録続出で、13分の半ばが当たり前。安島は14分6秒47ですからね。現在はスキル不足でしょう。安島はこれからです。まずは大学に入り、生活や練習になれることが先決。才能はありますので、焦らずにじっくりとやってほしいですね。まずは安島が箱根で走る姿をテレビで見たいですね」

 安島選手に高校3年間と北野監督について聞きました。
安島選手:「充実の3年間でした。北野先生は自主性を重んじる方で、迷った時には適切なアドバイスをくれました。いろいろな失敗がありましたが、失敗が成功につながったと思っています。岐阜が大好きです。岐阜の安島から世界の安島へ…まだ少し早いですよね。いつまでも岐阜にいるわけにはいきません。僕は旅立ちます」と少し照れくさそうに答えました。

 最後に安島選手は一言「吉村さん、座ってる姿だけの写真を撮るのはおかしいですよね。走っている姿を映して下さい」そういうと、雨が降りしきるトラックに勢いよく飛び出していきました。ストイックでシニカルな安島選手が初めて見せてくれた優しさ。その優しさをかみしめながら、吉村キャスターは、これからも応援することを強く誓いました。

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