「温かい食べ物を」岐阜県内のキッチンカー事業者が炊き出し活動　能登半島地震の被災地で

　能登半島地震から約１カ月。今も被災地では避難所での生活を余儀なくされている人がいます。こうした中、岐阜県内の飲食店でキッチンカー事業を営む若者が、被災地を「食」で支援しようと動き出しました。

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＜温かいものを提供したい　アツアツで、出来立てを＞

　食で被災地を支援しようと企画したのは、各務原市でホットサンドのキッチンカーを走らせる森下幹生さん（２７）。地震の発生時から被災地を支援したいという思いがある中で、どのような形で支援ができるのか、模索していました。

※森下幹生さん
　「何かしたい、被災地の人のために自分の力で何か動きたいというのは、震災が起きた日から考えていていました」

『石川県にて一般ボランティアが解禁された後、現地の方と連絡をとり、被災地に伺い、炊き出しを行いたいと思います。一台では食料に限界もあるため一緒に行ってくれる飲食店さん、キッチンカーオーナーさんご連絡ください』

地震発生からの８日後。森下さんは自身のインスタグラムにこのように投稿しました。

※森下さん
　「自分なら何ができるのか、考えた時に『キッチンカーがある』と思いました。ＳＮＳで発信してもし集まれば、メンバーで何ができるかを考え、一緒に考えてやりませんかという思いでした」

　この投稿が被災者を中心に拡散され、投稿から２日後、石川県でキッチンカーを営む平岡邦雄さんに届くと、「支援活動に協力します」と返答がきました。

※森下さん
　「うれしいし、心強いです。平岡さんのおかげで、石川県の人との繋がりが増えたので、かなりやれることが増えたかなと思います」

※平岡邦雄さん
　「地元のキッチンカーの人しか見ていなかったので、県外の若い活力のある、迅速なアクションにはとてもびっくりしていますし、感謝しています」

　森下さんはさらに支援活動を広げようと、岐阜・石川・愛知の人が関わるキッチンカーボランティア団体「ＪＡＰＡＮ　ＦＯＯＤ　ＴＲＡＣＫ　ＯＲＤＥＲ」を立ち上げることに。

　そして衛生面などの条件をクリアし、七尾市の担当者から炊き出しの許可を得ることができました。

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＜仲間とともに被災地へ＞

　「色んな人の思いを一人一人が背負ってがんばって、やりきって無事に帰ってきましょう！よろしくお願いします」

　１月２２日、賛同した仲間とともに、岐阜県内の協力企業から預かった物資や食材、衣類などが入った大量の段ボールをキッチンカーと車に運び入れ、その日の夜、森下さんらは岐阜を出発しました。

　翌日、最初に炊き出しが行われたのは石川県七尾市の中島小学校。ここでは自宅が被災した約８０人が避難生活を送っていました。断水が続く避難所に到着した平岡さんらスタッフ１７人は、朝から準備を始めました。

　炊き出し開始時刻の１２時。キッチンカーの前に多くの人が集まると、１０００食分のやきそばや岐阜の特産「明宝ハムのフランクフルト」、それにお菓子がたくさん入った袋を渡していきました。

※物資を受け取った人は
　「とてもうれしいです。心がこもったのをたくさんいただきました。できる恩返しをしたいと思います」

※ほくりくキッチンカー協会　高川稔充代表理事
　「僕自身も毎日、炊き出しを行っていますが、本当にありがたいし、感謝の言葉しかないです。このご縁に石川県能登が復活したら、能登牛とか名物があるので、また恩返しがしたいと思います」

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＜広がる支援の輪　森下さん『今後も継続的な活動を』＞

　雪が強まってきた２３日午後、七尾市の気温は２度。厳しい寒さが増す中、森下さんらは、高齢者が多く避難する七尾市の小丸山小学校に移動し、豚汁やだし巻き卵などがのった丼ぶり２３０人分を振る舞いました。

※避難所で生活する人は
　「肉もやわらかいし、食べやすい。温かくて変わった料理を出していただいて、喜んでいます」
　「温かいものが提供されることはうれしいです。力をいただきます」
　「（自宅は）壊滅的という状況。けががないのでよかったです。前の能登半島地震でも被災したけど、あの時よりも規模が違いました」

　支援を終えた森下さん。引き続き「絶えない継続的な活動」を続けていきたいと誓います。

※森下さん
　「こういう活動ができて、（被災地に）行ってよかったと思いますし、僕の気持ちに賛同してくれた岐阜・愛知・石川の人たちは、自分たちのできること精いっぱいぶつけていきますので、また待っていてください」