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ジャンボタニシ被害対策

「読むラジオ」第8話

みなさま こんにちは! 岐阜新聞社の神保絵利子です。
春の大型連休に入りました。2020年、21、22年とも異なる今年の春の情景。5月8日には新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行されますが、感染者はこれまで、大型連休明けに増える傾向にあります。5類移行のタイミングと重なることが懸念されています。連休中は感染リスクが高まる場面が増えます。個々、それぞれの状況に適した行動に努めたいですね。

4月の「週刊ラジオ 聴く新聞」は計5回ありました。ゲストは実に華やかでした。2日のスクミリンゴガイ(通称ジャンボタニシ)の研究を続ける志埜さんの出演に続いて23日には岐阜大学応用生物科学部の伊藤健吾准教授がジャンボタニシ被害対策について話してくださいました。新年度スタート時で多忙な中でしたが、伊藤先生は「この時期に伝えるべきことがある」 と出演してくださいました。「岐阜県と岐阜大学応用生物科学部が共同で研究を進めた岐阜県版ジャンボタニシ被害対策マニュアル』が岐阜県のホームページで公開されています、参考にしてくださいね!」と伊藤先生。

以下、出演時の伊藤先生へ質問とそのお答えを要約します。

 もともと食用で日本に持ち込まれたジャンボタニシ。商品化しようとしたが、味が一般受けせず、廃棄処分になり、野生化して分布が拡大していった。卵は自然界にはないようなピンク色。気温が連日25度を超えてくるようになると産卵を始める。そろそろ産卵を始める時期に入る。田植え直後の柔らかい苗を食べてしまうので、被害が大きくなる。季節によって被害を防ぐための対策も異なってくる。ジャンボタニシが稲を食べる時期=苗が小さくて柔らかいときに被害が集中するので、この時期をいかに乗り切るか(被害軽減)と、地区全体でジャンボタニシの個体数をいかに減らしていくか(個体数抑制)の両輪で対策をする必要がある。

産卵の時期に入っていく時期に行うべき事は?
 田植え直後が、被害は一番大きい。苗を守るために動き始めた個体を集めて処分する。もう一つは、農薬に頼らざるを得ない状況。ジャンボタニシに限らず日本に持ち込まれた外来種の多くは日本の冬(低温)に耐えられない。ジャンボタニシやアメリカザリガニも高山の方にはいない。ヌートリアなどもそう。寒さに弱い。一方で乾燥には強い。日本の田んぼは水が入っているイメージがあるかもしれないが、9月には落水といって水を抜く。次ゴールデンウィーク(田植え前)までは水が入らない。
 ジャンボタニシは半年以上の間、
水がない状態でも耐えしのぐことができる。ジャンボタニシの被害を軽減するために具体的な対策として、一番は、冬の寒さにさらすこと。農林水産省版のマニュアルは被害の大きい西日本の事例がメインになっているが、それらの地域に比べると岐阜県は冬場の気温は低いので、ほったらかしているとジャンボタニシは、ほぼほぼ死ぬ。しかし、稲の収穫後、10月や11月に耕機で田んぼをおこしてしまうと地表面にいたジャンボタニシを土の中に潜り込ませてしまうことになる。土の中は暖かいので、冬の寒さを無事に乗り切る個体も出てくる。田おこしは秋には行わず、冬に個体数が激減するまで待つ。その年の気温や場所にもよるが2月の中旬以降になってからにすると、被害は軽減できる。
寒い冬を耐え抜いた個体が動き出す時期になる
。どうすればいいか?
 
今年は桜の開花も早かったので暖かかったような気もするが、2月に極寒の期間があって冷え込んだ。ジャンボタニシも寒さに耐えられず、生き延びることはできなかったようで、今年も被害は少ないと思われる。寒さで99%死んだとしても1%生存していたら、夏場には爆発的に増える。ジャンボタニシは繁殖力が強い。ゆえ、春先に動き始めた個体を駆除することが必要。
春先に生き残ったものは数が少ないので見つけることが難しい。どうしたらいいか?
 
被害の大きいところ、被害が大きい田んぼ、少ない田んぼがある。田んぼ1枚全面がやられるのではなく、田んぼの一区画とか特定の場所で毎年稲が食べられていたら、そこがジャンボタニシの越冬地になっている。被害が大きかったところで春先にジャンボタニシを探してみると、冬場を生き残った個体が見つかることが多いので、集中的に個体の有無を確認するといい。
個体を確認するのに、オススメの日はあるか?
 個体を見つけても死んでいるのか、生きているかどうかを識別するのは難しい。暖かくて雨が降った日、生きているジャンボタニシが動き始めるようなタイミングで見ると一番分かりやすい。なぜなら、水がないとジャンボタニシは動かない。雨が降って水たまり状態になっているときに動き始めるので生きている個体を見つけやすい。
気温25度以上が続くと産卵を始めるとのこと。卵の駆除はどうすればいい?
 一般的には「水路の中にたたき落とす」といわれるが、卵が産み付けられてから1週間ぐらいたつ(卵の色はピンクから白っぽくなる)と水に落としても死ににくくなる。逆に水路に落とすと広がっていくリスクもあるので水路にたたき落とす対策をするときは1週間に1度は行うようにするといい。それができないのなら水路に落とすだけではなく叩きつぶすことが必要になってくる。季節によって対策の優先順位が変わる。やみくもに対策しても効率が悪い。労力やコストもかかる。季節によって効率的な対策をしてほしい。対策対応チラシも参考資料として公開され、季節ごとのアドバイスを記している。
石灰窒素散布については?
 その効果について科学的な検証を行っている段階。魚毒性が強い(魚への影響も懸念される)ので、実施の場合は慎重に。

 
今後、気候変動によって温暖化が進んでくるとジャンボタニシの分布域、越冬が可能になる地域も拡大する。産卵時期も早まる。今はゴールデンウィーク頃からだが、4月の頭から卵を産む可能性もあり個体数が増加し被害が拡大するかもしれない。対策は田んぼ1枚1枚でやっていても効果がない。田んぼは水路でつながっている。地区全体で取り組んでほしい。

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この日、伊藤先生登場曲は先生が選んだ レッドチェッペリン「移民の歌」でした。「プロレスラーのブルーザー・ブロディの登場曲。小学生の頃から好きで、テンションが上がる曲」とのことです。また、「疲れた時、途方に暮れてボーッとできる曲」や落ち込んでいるときに前向きになれる曲」のリクエストもありました。「別に今、落ち込んでいるわけではないけれどね(^^ゞ」と伊藤先生。この日はthe pillowsの「Funny Bunnyもお届けしました ♪ 伊藤先生、お忙しい中、リスナーさんの要望「伊藤先生、教えて!」に応えてくださってありがとうございました。またぜひ、出演してくださいね。次回は志埜さんたちと一緒に(*^O^*) よろしくお願いいたします<(_ _)>

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4月30日には岐阜市科学館元館長の小森龍二さんが電話で出演し、初夏の金華山(岐阜市)を彩るツブラジイの話をしてくださいました。

ツブラジイと岐阜城(4月28日小森龍二さん撮影)

2月に岐阜市役所でお仲間と写真展を開催している小森さん。番組の参考になればと季節の写真も定期的に送ってくださっています。いつもありがとうございます。

ヒトツバタゴとロープウェイ(同)

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 最近は初めてメッセージを送って下さる方が増えています。また、ラジオネーム「岐阜っ子、牛牧っ子」さんはじめ多くのリスナーさんが〝ふるさとリポーター〟として旬の写真を撮って送ってくださいます。ありがとうございます。4月30日は、ラジオネーム「山がのおじい」さんからのリクエスト曲 いきものがかりさんの「ありがとう」に、みなさまへの感謝の気持ちを込めました。

       みなさん、いつもありがとうございます!! 
       これからもよろしくお願いいたします<(_ _)>

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