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若い世代の間で相次ぐ大麻、岐阜県内でも逮捕者 拡大を防ぐには(ぎふチャンテレビ「フォーカスぎふ」)

昨今、若い世代の間で広がる大麻の乱用。警察庁によりますと、近年は若年層の乱用者が...

 昨今、若い世代の間で広がる大麻の乱用。警察庁によりますと、近年は若年層の乱用者が増加傾向をたどり、この5年間で2倍近くまで増加しています。SNSなどで手軽に購入できるようになったことが背景にあるとみられ、危機感が募っています。大麻を巡る現状を取材しました。

 警察庁によりますと、2022年に大麻事犯で検挙された人数は5342人。このうち30歳未満は3765人と、約7割を占めています。全国的に若い世代の間で大麻がまん延していることが分かります。

 岐阜県内においても、大麻をめぐる事件は2018年から2022年まで増加傾向をたどっています。ことし8月、瑞穂市にある朝日大学のラグビー部員3人が、営利目的で男性会社員に大麻草を譲り渡したとして、逮捕されました。(その後不起訴処分)

 3人のうち、男子大学生(20)についてはことし7月、何者かに大阪府から瑞穂市内にある朝日大学ラグビー部の合宿所に、大麻草約30グラムが入ったレターパック2通を代金12万円で郵送させ、譲り受けようとした疑いで逮捕・起訴されていて、初公判を10月中に控えています。

 警察は大麻が広がっている理由として、「大麻が安全である」と誤った情報が流れているなどとするほか、「SNSの普及が大きい」と話します。

SNSの普及…なぜ、若い世代は簡単に大麻が入手できるのか

「ブロッコリー」や「手押し」—。

 若い世代の多くは、SNSのアプリ「X(旧:Twitter)」を使って、売人と接触しているとされています。実際に隠語となるキーワードを検索してみると、大麻の購入を呼び掛ける書き込みがあふれています。

 ブロッコリーの絵文字は「大麻」を示します。

 また手押しは「対面販売」という意味で、このような隠語を使って、購入者は売人から違法薬物を入手しようと試みます。

 その後、購入を希望する場合メッセージが自動的に削除される「テレグラム」という匿名性の高いアプリを使い、隠ぺいをはかって大麻を入手するという流れです。

「想像以上に子どもたちの間で流行っている」家族間でもまん延する大麻

 SNSの普及で大麻が身近な存在となる中、家族の間で大麻がまん延していると悩む、県内在住で3人の子どもを持つ女性に話を聞くことができました。

【女性】「自分たちが思っている以上に子どもたちの中で大麻がはやっている。それが遊びの一つで、それがないと友達と付き合えないぐらいのところに、世の中が来ているというところに早く気づいてほしい。他の人から大麻を使っている人がいると聞き、大麻というのはどのようなものなのかを自分で調べました。その状況がうちの子(息子)にも当てはまるということに気づき、電子タバコだと思っていたけど、違うのではないかというところから気づきました」

 その後、長男が大麻を所持していたことが分かり、逮捕され少年院に入りました。さらに女性は、次男(高校生)と三男(中学生)も大麻に手を出しているのではないかと、異変に気づいたといいます。

【記者】「兄弟も大麻に手を出しているのですか」
【女性】「弟たちも間違いなく黒だと。全然悪いことだと思っていない。次男、三男は『おもしろおかしく、見つかなければいい、捕まらなければいい』という印象があります」

 家族をむしばむ大麻。女性は母親として、どんな状況でも子どもと向き合うと話します。

【記者】「息子たちを大麻から引き離したい思いですか」
【女性】「でも、友達と結局つながっているし、出口がみえない」
【記者】「いつ逮捕されるか、心配な思いもありますか」
【女性】「逮捕されればいいし、それで治るならいいですけど、彼らの人生、薬物が中心の人生になるのかが不安」
【記者】「母親として、息子たちには更生してほしいと思いますか」
【女性】「そうですね、怖いものだと、いけないものだと、まず気づいてほしいです」

 女性は子どもたちを大麻から引き離そうと、薬物依存症の専門医療機関などに相談しているといいます。

専門家に聞く、大麻使用者に多く見られる症例とは

 各務原市にある各務原病院の精神保健福祉士で、大麻や酒などの依存症にくわしい専門家によりますと、大麻を使用している人に起こしやすい症例や事例には3つの特徴があるといいます。

<1.気力や活動量の低下>
 大麻には鎮静作用があり、使用すると気力が落ち、日常生活が崩しやすくなる。お風呂に入らなくなり先のことを考えられなくなる症状がみられます。

<2.部屋の状態>
 部屋から水たばこのような機材が出てくることがあり、部屋から甘いにおいが漂うことがあります。

<3.お金の使い方>
 大麻を購入するため家族にお金を求めたり、借金をしたりと社会生活上の問題が目立つようになります。

 全国には、薬物依存症の人を支える医療機関があります。大麻や覚せい剤は依存性があり、繰り返し使用することで、食い止めることが難しくなります。大麻の誘惑に負けないよう、強い意思を持つことが必要です。(ぎふチャンテレビ「フォーカスぎふ」内)

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