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岐阜市の中華料理店「中華楼」 惜しまれながら1月いっぱいで閉店

岐阜市にある中華料理店「中華楼」が1月いっぱいで店を閉めることになりました。
閉店を前に、もう一度 この店の本格的な中華料理を味わおうと常連客が訪れています。
店があるのは、岐阜市福光西の住宅街の一角です。
1階は厨房、2階が店舗で、45年前に開業し、27年前に現在の場所に移転しました。
厨房を一人で切り盛りするのが店主の上村行正さん(73)です。
上村さんは、15歳で上京した後、六本木の高級中華料理店「廬山(ろざん)」で修行し、その後、都内の老舗ホテルや中国飯店などで腕を磨きました。
四川料理や広東料理など中華の幅広い調理法を習得し、扱えるメニューはおよそ500種類。
中でも 特製の山椒を用いた「麻婆豆腐」は一番人気で、辛みとうまみが調和した本格的な中華の味として常連客の舌を満たしてきました。
店を閉めるのは、なぜ?
※上村行正さん
「妥協しない中華を出してきたが、年齢的も閉め時がある。元気なうちに区切りをつけるという意味で(決断した)」
一方、店を取り仕切ってきたのは奥さんの則子さん(80)。
料理の注文やテーブルの予約はすべて則子さんが聞いてきました。
なじみ客の多くは、医師や大学関係者、企業経営者で、中には親子3世代にわたる常連客もあります。
則子さんは店を閉めることについて、「思い出もたくさんありますし、寂しいですよね。お客さんも寂しいと言ってくださいます」とこれまで思い返します。
上村さんは数年前から、中華料理の調理法や包丁の研ぎ方、使い方をYouTubeで配信していて、その技術を教えてほしいと来店する料理人もいますが、店の味を誰かに継いでもらおうとは考えていません。
店の味を引き継ぐことは?
※上村行正さん
「自分の(この店の)味を残そうとは思わない。静かにフェードアウトするつもりだったのに……」
閉店の知らせを伝え聞いて、店にはなじみ客からの最後の予約が相次いでいます。