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自身を輝かせる服作りで岐阜アパレルを再興させたい…〝Made in 岐阜〟にこだわる2人の女性 持続可能への挑戦も(フォーカスぎふ)

かつては「アパレル王国」と呼ばれ、一大繊維の街として栄えた岐阜。そんな「アパレル王国」の活気を取り戻そうと、2人の女性がメイドイン岐阜にこだわった新たなブランドを立ち上げ、注目を集めています。
※記者リポート
「こちらの襟が特徴的な華やかなブラウス。素敵ですよね。実はこれらの商品すべて、岐阜でつくられたメイドイン岐阜の商品なんです」
手掛けたのは2人の女性。岐阜県本巣市在住の今瀬舞さん(41)と長屋沙耶加さん(38)です。
2人は2022年2月に女性向けアパレルブランド「エルミレイ」を設立。岐阜県北方町を拠点に、30~40代の大人の女性をターゲットとした、シンプルながらも洗練されたデザインの商品を展開しています。
※今瀬舞さん
「今の女性というのは時間に追われて忙しく過ごされている方がほとんどだと思うので、そういった方たちのストレスにならないようにイージーケアで、自宅でお洗濯できるっていうのを基本にしております」
コロナ禍で手洗いの機会が増える中、腕まくりしやすいよう袖口がゴムになっていたり、しわになりにくくアイロン掛けが不要だったりと、洋服にかける手間を少しでも減らす工夫がされています。現在は通販のみの販売ですが、22年夏には北方町のふるさと納税返礼品に認定。一部の商品は完売するなど認知度も高まっています。
新商品のワンピースを(記者が)試着させていただきました。
※記者リポート
「上がストレッチ素材なのでとても着心地が良いです。またアクセサリーをつけていなくても首元のパールが上品感を演出してくれて、これからの季節大活躍してくれそうなワンピースです」
こだわっているのはそれだけではありません。ブランドが目指すのは、「アパレル王国」岐阜の再興です。
かつては東京や大阪と並ぶ3大アパレル産地として栄えた繊維の街、岐阜。しかし近年は海外で製造された商品を大量に仕入れ、低価格で販売するファストファッション化が進み、岐阜県内の繊維事業者はこの30年で5分の1にまで減少。廃業する店も少なくありません。
※長屋沙耶加さん
「せっかく岐阜で縫製とかできる技術があるのに、それを生かさない手はないというか。それを無くしてしまうのはとてももったいないことだと思うので、それを何とか私たちでもう一度再興できたらなと思って」
エルミレイの商品は小ロット生産。一度に製作できる数は限られているものの、その分、生地選びから縫製、プレスなど全ての工程を県内の工場で行います。目に届く範囲で洋服づくりができるのもメイドイン岐阜のメリットだといいます。
※長屋さん
「すべて私たちが訪問して、顔の分かる方で技術が確かな方にお願いしているので、何かあればすぐに駆け付けて、こういう風にしてくださいっていう風にお願いができます。その点も安心して進められています」
2人の服作りへの思いは、実際に生産する業者側にも伝わっています。
※エトフェール(縫製工場)代表 内ヶ島圭祐さん
「この業界にそうやって若い方が来られて、頑張ってもらえるっていうのは、すごい生産の現場としても大変うれしいことですね。やっぱり地場産業っていうところがあるんで、それを活用してもらって自分たちの思い描く服をつくって、お互い一緒になって盛り上げていけたらなと。頑張ってほしいなと思います」
「メイドイン岐阜」の高い技術と作り手の思いが込められた「エルミレイ」。
※今瀬さん
「エルミレイ自体が女性の自立であったりとか、女性が外で働くっていうのをすごく応援したいという思いがあります。何か一歩踏み出せずにいる方とか、実際外でバリバリお仕事をされていて、もっと自分に好印象を持ってもらいたいとか、胸をはって皆さんの前に立てる服を着たいっていう方とかに選んでいただけるとすごくうれしいですね」
取材の日、2人が現在進行形で取り組んでいる、あるプロジェクトの打ち合わせ先に同行しました。
向かったのは岐阜県瑞穂市にある染色加工会社。主役となるのは…大量の生地です。
トレンドに左右されやすいアパレル業界では、ある程度の需要を予測して見込み生産するため、ブームの移り変わりによって見込みに合わずに廃棄する生地が出てしまうと言います。こちらの会社も例外ではなく、廃棄量は毎月50メートルの束およそ150本分。全体の3%にあたる生地がごみとして廃棄されるといいます。
今瀬さんらはこの余った生地を再利用し、サステナブル(持続可能な)な商品を開発しようと取り組んでいます。
※岐セン社長 後藤勝則さん
「デッドストックになっているようなものをもう一度、岐センの染色加工で色々な色をつけたり、機能性をつけたりして、もう一度利用したいっていうことでした。それは今のSDGSとかサスティナブルっていう考えからすると非常に有益だなと。そこに(私たちも)参加するっていうことがまず第一歩、重要だと考えております」
膨大な色サンプルの中から2人が選んだのは、白やピンクベージュなど、春夏シーズンにぴったりの爽やかな3色。来年の販売に向けて着々と準備が進められています。
メイドイン岐阜の誇りを胸に、アパレル業界が抱える課題にも取り組む2人に、やりがいを聞きました。
※長屋さん
「純粋に自分が欲しいなと思う服を作れることですね。色だったりとかシルエットだったりとか、サンプルを作ってみてこういう風にしたいと、自分の思い通りに服が作れるところがすごいやりがいになっています」
※今瀬さん
「作った商品に対してお客さんから喜んでもらえたりとか、コメントをレビューでいただいたりとかしたときに本当にうれしいなって感激しています。ぜひ岐阜の皆さんにも応援していただけたらうれしいです」
ブランド名「エルミレイ」には、「自分自身を輝かせる光」という意味が込められています。今瀬さん、長屋さんの取り組みがこれからのアパレル業界、そして岐阜の地場産業でもある繊維業を変えていくことにつながることが期待されます。
(2022年12月16日OA ぎふチャンテレビ「フォーカスぎふ 今週のフォーカス」)